車番認識システムによる入退場管理の必要性とメリットとは?弱点を補うシステムも紹介
車番認識システム(LPR/License Plate Recognition)は、車両のナンバープレートを自動で読み取り、入退場を管理する仕組みです。物流倉庫や工場を中心に浸透しており、生産効率の向上、コスト削減、セキュリティ・安全性の強化を目的に導入を検討する生産管理部や工場管理責任者の方も増えています。
一方で、車番認識システムには、認識率のばらつきやゲートの誤作動、渋滞の発生といった「見落とされがちな課題」も存在します。導入する際には、これらの弱点を理解し、より安定した運用を実現する仕組みを取り入れることが重要です。
本記事では、車番認識システムの基本機能や導入の必要性、入退場管理を自動化するメリット、さらにその課題を補う最新システムについて解説します。
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なぜ今、車両の入退場管理を自動化する必要があるのか
近年、物流現場や工場では、人手不足やセキュリティリスクの高まりを背景に、車両の入退場管理の効率化が急務となっています。従来のように守衛や受付担当者が手作業で対応する方式では、コスト面・安全面の両方で限界が見え始めています。
車両の入退場管理における主な課題は、以下の通りです。
- ・守衛による人件費の増大
人手不足が深刻化し、24時間体制での警備や受付対応を維持するには多くの人件費がかかります。自動化によって人的負担を軽減し、コストを最適化することが求められています。
- ・物流施設でのトラック待機時間(2024年問題)
ドライバーの労働時間上限が厳格化される「2024年問題」により、待機時間の削減は喫緊の課題です。入退場の受付を自動化することで、スムーズな搬入・搬出が可能になり、現場の生産性向上にもつながります。2024年問題について詳しい内容は、こちらで詳しく解説しています。
- ・不審車両の侵入リスク
手動での目視確認では見落としのリスクがあり、セキュリティ体制の強化が急務です。自動認識システムや監視カメラとの連携により、車両情報を正確に記録し、不審車両の侵入を未然に防ぐことができます。
特に、慢性的な人員不足や働き方改革による労働時間制限の影響で、人的対応だけでは現場の安全と効率を両立することが困難になっています。
こうした課題を根本的に解決するには、自動認識システムやゲート制御による入退場管理の自動化が不可欠です。これにより、人件費削減とセキュリティ強化を同時に実現し、持続可能な運用体制を構築することができます。
車番認識システム(LPR)の基本機能とメリットを紹介

物流現場や製造工場などでの車両入退場管理において、効率化とセキュリティ強化を両立させる方法として注目されているのが、「車番認識システム(LPR/License Plate Recognition)」です。
ここでは、車番認識システムの基本的な仕組みを解説し、導入によって得られる具体的なメリットを整理します。
車番認識システム(LPR)の仕組み
車番認識システム(LPR)は、入口ゲートや施設内に設置したカメラで車両のナンバープレートを撮影し、登録済みのデータベースと照合する技術です。車両がカメラの前を通過すると自動的に番号を読み取り、許可された車両であるかを判定します。
認証が完了するとゲートが自動で開き、入退場記録がシステムに保存されます。従来の守衛による手作業確認に比べ、人的ミスや確認待ちの時間を大幅に削減できる点が特徴です。
車番認識システムを導入するメリット
物流倉庫や工場などのゲートに車番認識システムを導入することで、次のようなメリットが期待できます。
■入退場の迅速化
カメラによる自動認証により、ゲート通過がスムーズになり、トラック待機時間の短縮につながる
■セキュリティ強化
登録されていない不審車両の侵入を自動で検知できるため、施設内の安全性が向上する
■人件費の削減
守衛や受付担当者による確認作業の負担を軽減し、人件費の最適化を実現できる
■データ活用による運用改善
入退場記録をシステムで蓄積・分析することで、ピーク時間帯の混雑状況や施設利用状況を把握し、運用改善に活かせる
これらのメリットにより、セキュリティ向上やコスト最適化、現場運用の改善に貢献します。
車番認識システムが解決する本質的課題
車両入退場管理が抱える本質的な課題として、「安全性と効率性の両立」が挙げられます。
従来の人的対応では、繁忙期や人員不足時に対応が遅れ、トラック待機や不審車両の侵入リスクが発生していました。車番認識システムを導入することで、人手に依存せずに正確かつ迅速な認証が可能となり、施設運営の信頼性を大きく高めることができます。
車番認識システムは単なる監視機能にとどまらず、コスト削減と安全性向上を両立させる戦略的ツールとして、製造業や物流業の現場に必要なソリューションといえます。
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意外と知られていない車番認識システムの「弱点」

車番認識システム(LPR)は、車両入退場管理の効率化やセキュリティ強化に有効なツールですが、実は運用上の弱点も存在します。特に、外部環境や車両状況によって認識精度が低下するケースがあり、この点を理解しておかなければ、期待した効果を十分に得られない可能性があるため注意が必要です。
ここでは、車番認識システムの課題と運用リスクについて具体的に解説します。
最大の弱点:「認識率」の低下要因
車番認識システムの最大の課題は、車両ナンバープレートの認識率が外部要因によって大きく変動する点です。
国土交通省の調査によると、車番認識の平均精度(AIカメラの場合)は、晴天の日中であれば「90%程度上」ですが、雨・雪・霧などの天候下や夜間の照明条件によって「50%程度」まで低下するケースがあると報告されています。
具体的には、 以下のような外部環境による影響が見られます。
- ・⽇中(7時〜17時)はナンバープレート認識率が高く、取得データの活用で入退場の傾向把握が可能
- ・夕方以降(17時〜)は照明不足や光の反射により認識率が著しく低下する

引用:ICT・AI活用について|国土交通省(P11)
また、ナンバープレートの汚れや損傷、逆光やハレーション(強い光がレンズに入ることで画像が白くぼやける現象)なども精度低下の要因となり、カメラの読み取り精度は環境に左右されやすいことがわかっています。
運用リスク:ゲートの誤作動と渋滞の発生
車番認識システムの認識率の低下は、ゲートの誤作動や現場渋滞という形で運用リスクにつながります。
例えば、未登録車両を誤って認識してしまうケースや、登録車両が通過時にゲートが開かず手動対応が必要となり、入退場口での渋滞が発生することが想定されます。
その結果、守衛を増員して対応せざるを得ず、人件費削減や効率化の効果が損なわれる恐れもあるでしょう。また、繁忙時間帯や悪天候時にはゲート前や周辺道路の混雑が長時間続くケースもあり、導入前の期待と現実のギャップを生む要因となります。
車番認識システム導入の際には、こうした弱点を理解した上で、補助的なセンサーの併用やカメラ設置位置の工夫、照明環境の改善などを組み合わせることが重要です。
デメリットを補う+ETC認証という方式(FLOWVISの紹介)

物流施設や工場では、車両入退場の効率化とセキュリティ向上が重要課題となっていますが、従来の車番認識システム(LPR)には、天候や光の影響による認識精度の低下など、運用上の弱点があります。
そこで注目されているのが、「FLOWVIS(フロービス)」です。FLOWVISは、ETC認証と車番認識を組み合わせたハイブリッド方式を採用し、すべての車両に対して確実で効率的な入退場管理を実現するサービスです。 ここでは、FLOWVISの特徴と導入によるメリットを具体的に解説します。
弱点を克服!FLOWVISが実現する「確実な入退場管理」
FLOWVISの中核技術は、高速道路で広く利用されている車両識別方式「ETC認証」です。
ETC(Electronic Toll Collection/自動料金収受システム)は、車両に搭載された専用のETC車載器を読み取り、ゲートを自動開閉する仕組みであり、雨・雪・霧などの天候やナンバープレートの汚れによる影響を受けません。そのため、従来の車番認識で生じやすかった認識率低下の課題を克服できます。
また、ETC車載器を搭載している車両であれば、新たにデバイスを配布する必要がなく、導入時のコストや手間も最小限に抑えられます。
車番認証との組み合わせで全ての車両に対応

ETC認証は高速道路での信頼性と認識率は高い一方で、ETC車載器を搭載していない車両や一時的な来場車には対応できないという課題があります。
FLOWVISでは、こうしたETC非搭載車両や一時的な車両に対し、車番認識システムを併用することで対応可能です。
ETC認証の高精度と車番認識の柔軟性を組み合わせた「ハイブリッド認証」により、すべての車両を確実に入退管理できます。これにより、従来の車番認識識システムでは運用が困難とされる環境下でも、入退場管理の精度を維持することが可能です。
待機時間削減と物流課題解決への貢献
FLOWVISの自動化されたハイブリッド認証を導入することで、車両の入退場が迅速かつ正確に行えるようになります。これにより、ドライバーのストレス軽減やゲート前の渋滞防止が実現し、物流施設での荷待ち・荷役時間を可視化できます。
特に、トラック待機時間が問題となる「2024年問題」に対して、効果的な解決策となるでしょう。2024年問題とは、時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されることで、トラックドライバーの労働時間が短縮され、輸送力不足のリスクが生じる問題です。
2030年には輸送力が34%不足する恐れがあり、その解消にはドライバー1人あたり年間125時間の荷待ち・荷役時間短縮が必要とされています。

こうした課題に対応するため、2025年4月からは「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づく「物流改正法」が順次施行され、荷待ち・荷役時間の短縮や多重下請構造の是正を目的に、新たな規制が導入されました。物流改正法については、下記をあわせてご覧ください。
法改正を受け、物流現場では待機時間の削減や車両動線の最適化など、さらなる効率化が求められています。
FLOWVISを導入することで、入退場データをリアルタイムで可視化し、混雑予兆の把握やドライバー滞在時間の分析も対応可能です。さらに、データに基づく改善を可能にし、持続的な業務効率化にも寄与します。
そのため、FLOWVISは単なる入退場管理システムにとどまらず、物流現場の課題を包括的に解決する戦略的ツールといえるでしょう。
出典:物流情報局(荷主の皆さまへ)|自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課
まとめ
現在の製造業・物流業では、人手不足の加速やトラック待機時間の増大、不審車両の侵入リスクなど、入退場管理の効率化と安全確保が急務となっています。
車番認識システム(LPR)を用いることで、ナンバープレートを自動で読み取り照合し、入退場を効率化できますが、天候や汚れによる認識率低下といった不確実性が残ることも事実です。
FLOWVISのハイブリッド認証(ETC認証+車番認識)なら、効率性とセキュリティを両立し、現場の渋滞や誤認識リスクを低減できます。工場運営費削減や人手不足対応、不審車両侵入防止、法規制への対応にも有効です。
FLOWVIS導入を単なる設備投資ではなく、物流の競争力強化や多拠点展開、バース予約システムとの連携も視野に入れた戦略的ソリューションとして、検討してみてはいかがでしょうか。
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更新日:2025.11.18

