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【ひとり情シスとは】中小企業が直面する深刻なITリスクに備え、今すぐ始めたい4つの実践的対策

社内システムやITインフラの管理・運用を行う情報システム部門は人手不足が深刻化しています。特に中小企業では、いわゆる“ひとり情シス”の状態に陥り、業務が回らずセキュリティ対策に不安を抱いているケースも少なくありません。

そこで本記事では、ひとり情シスの現状や課題点を解説するとともに、企業が抱えるリスクとその対策を4つの視点から紹介します。限られたリソースの中でも安定したIT運用を実現したいとお考えの企業様は、ぜひ最後までお読みください。

「ひとり情シス」とは何か?


「ひとり情シス」とは、情報システム部門の業務を特定の担当者が1人で全てこなしている状況を指します。

情報システム部門では、社内のPCやサーバ、ネットワークの管理のほか、システムの導入や保守作業、トラブル対応、セキュリティ対策など幅広い業務があります。本来、安定したIT運用を実現するためには、これらの業務を複数のスタッフで分担する必要がありますが、ひとり情シスではすべてを兼務せざるを得なくなります。

1人の担当者が業務全体を把握しているため迅速かつ柔軟な対応が可能である一方で、過度な負荷がかかりやすく長時間労働の温床にもなりかねません。また、業務が属人化することでノウハウの偏在やリスク管理の難しさも懸念されます。

人手不足が深刻化する昨今では限られたリソースで効率的に業務を進める必要があり、そのためにIT人材を育成するための教育や支援体制を整えたり、戦略的なIT投資を行ったりする企業も増えています。

ひとり情シスの現状と課題


ひとり情シスの現状と課題

ひとり情シスの状態にある企業では、具体的にどういったリスクや課題が考えられるのでしょうか。

属人化による業務停止のリスク


ひとり情シスでは業務が属人化してしまい、システムの設定や運用、トラブルシュートなどの運用ノウハウが特定の担当者に依存しやすくなります。このように業務が属人化した状態では、担当者が急な休暇をとったり退職したりすると代わりに担当できる人材がおらず、業務が停止するおそれがあります。

セキュリティ対応の遅れ


ひとり情シスでは極端に人手が不足し、常に業務に追われている状況になるため、最新のセキュリティの脅威に対する情報のキャッチアップや脆弱性対応が後手に回りやすい傾向があります。セキュリティパッチの適用や不正アクセスの検知、ログ解析といったセキュリティ対応が十分に回っていないと、結果としてサイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まります。

障害対応の遅延


信頼性の高いシステムやネットワークであっても、エラーや障害が発生するリスクはゼロではなく、情報システム部門は日頃から障害対応の体制を整えておく必要があります。しかし、ひとり情シスの現場では業務が属人化し、運用保守のマニュアルやドキュメントが十分に整備されていないケースが少なくありません。このような状況下では、万が一障害やシステムトラブルが発生した際の対応手順が分からず復旧に時間を要し、社内全体へ大きな影響を与えかねません。

人材流出のリスク


ひとり情シスの担当者は業務範囲が広く、つねに多くの負荷を背負っています。専門知識を活かしたやりがいのある仕事ではありますが、自身の負担が軽減されないままでは燃え尽き症候群やモチベーションの低下を招きやすいことも事実です。

業務分担の見直しや適正な評価など、会社として担当者の負担を分散させる取り組みを行わない場合、優秀なIT人材が他社へ流出していくリスクが高まります。

技術変化への追随困難


IT業界の進化は極めてスピードが速く、日々新しい技術やサービスが登場しています。ひとり情シスでは日々の業務で手一杯になってしまい、最新技術のキャッチアップや知識をアップデートするための時間が確保しにくく、新しい仕組みを導入しづらい状況が生まれます。

たとえば、社内で業務効率化を図るためにクラウドサービスやワークフロー自動化ツールを検討しても、検証や構築に必要な時間と余裕がないと古い運用を維持せざるを得なくなり、結果として業務効率化が実現できません。

DX推進の停滞


DXの重要性が多くの企業で認識されるようになり、大企業はもちろんのこと中小企業でもDXを推進するケースが増えています。経営層をはじめとして社内にITの専門人材がいない場合、ひとり情シスの担当者にDXの推進や計画立案を丸投げされることも多いでしょう。

しかし、ひとり情シスの現場は日々の業務やトラブル対応で手一杯の、DXまで手が回る余裕がないというのが現実。その結果、競合他社がクラウド化や業務システムの刷新を進める中、自社だけが旧来の体制に依存し続け競争力を損なうリスクもあります。

ひとり情シスを支える4つの実践的対策


ひとり情シスを支える4つの実践的対策

人手不足を補うために情シス担当者を新たに採用したいと考えても、現実的に考えて条件にマッチした人材を見つけるのは簡単なことではありません。そこで、人手不足に悩む中小企業でも即実践できる、ひとり情シスを支える対策を4つご紹介します。

1.従業員教育の徹底


セキュリティ対策の中でも、最も基本でありながら最も効果的なのが「従業員教育」です。どれほど高度なセキュリティツールを導入しても、最終的なリスクは人の操作ミスに起因することが多いためです。

例えば、情報漏洩の多くは個人の操作ミスがきっかけとなり、ウイルス感染やマルウェア攻撃につながります。たとえば、猛威を振るった「Emotet」というマルウェアはメール添付から感染が拡大しましたが、この背景には“知らずに添付ファイルを開く”という人為的ミスが根本原因にありました。

さらに、誤送信やUSB紛失といった単純なヒューマンエラーも情報漏洩の大きな割合を占めます。結論、セキュリティの教育が徹底されていなければ、どれほどルールを整備しても守られず、外部サービスを導入しても誤操作で台無しになる可能性があります。

そのため、ウイルス対策ソフトを入れるだけでなく、メール添付の危険性やフィッシング詐欺の最新手口、メール誤送信の防止策、端末持ち出しの厳格な運用まで徹底的に行う必要があります。まずは従業員一人ひとりのリテラシーを高めることが、すべての対策の出発点となります。

2.ルールはシンプルにする


ITシステムや情報セキュリティに関する社内ルールが複雑すぎたり曖昧であったりすると、従業員は「結局どうすればいいのか」がわからず、結果的にルール違反や運用ミスを引き起こします。

社内規定を策定する際には、たとえば「パスワード変更は月に一度」「外部ストレージ利用は事前申請必須」のように、誰でも理解できるシンプルな項目に絞ることが重要です。また、システム運用におけるプロセスも同様で、たとえば「申請→承認→設定完了」といったように手順を極力短くすることで、現場の従業員が迷わずに活用できるようになります。

これによりヒューマンエラーを抑制できることはもちろん、日常業務の効率化も期待できます。

3.外部サービスの活用


ウイルス対策ソフトをはじめとして、マルウェアなどの侵入を防ぐ総合的なセキュリティ対策ツールとして「EPP」がありますが、100%の検知は不可能でありリスクをゼロにすることはできません。EPPの短所を補うために、疑わしい挙動を検知し人間では見落としがちな攻撃の兆候を察知できる「EDR」というソリューションも注目されています。

ただし、EDRの構築・運用には多くの手間と専門知識が必要であるため、「SoC」とよばれるセキュリティ専門家で構成されたチームによって監視・分析することが理想的といえます。EDRにはSoCによる運用が付帯されたサービスもあり、これを活用することで日常の監視やインシデント調査を外部に委託しリスクを移転できます。

たとえば、国産EDRの「KeepEye」は、ライセンスにSoCサービスが含まれているため、ツールを導入するだけで脅威検知から対応まで一括して任せることが可能です。このような外部サービスを活用することで、ひとり情シスの負担を大幅に軽減しつつ高度なセキュリティ体制を確保できます。

4.定型的な作業の自動化・仕組み化


情報資産を常に把握し、適切に管理することは情報セキュリティの基本です。

特に昨今では、テレワーク環境の普及により「社員がPCでどんな操作をしているのか」「不要なソフトがインストールされていないか」を常に把握したい要望が増えています。

これを手作業で行うと確認作業に膨大な時間を要するため、操作ログの収集やソフトウェア一覧の自動取得、アップデート適用状況のチェックなどを自動化することが効果的です。

たとえば、クラウド型IT資産管理ツールを導入すれば、対象端末の操作ログをクラウド経由で集約し閲覧できるほか、インストール状況やパッチ適用状況を自動でリスト化し、問題があればアラートを出してくれます。

定型的な情シス業務を自動化・仕組み化することで業務負荷が大幅に軽減され、リソースが限られたひとり情シスであっても戦略的なIT運用に注力できるようになります。

限られた予算で大きな効果が見込めるツールを比較・検討してみよう


限られた予算で大きな効果が見込めるツールを比較・検討してみよう

ひとり情シスは担当者への業務負荷の集中、万が一障害やセキュリティインシデントが発生した際の対応の遅れ、DX推進の停滞などさまざまな問題をはらんでいます。人手不足の昨今、中小企業ができる現実的な対策としては、セキュリティ対策ツールや外部サービスなどを活用しながら、「極力自社で管理しなくても良い仕組み」を構築することが重要といえるでしょう。

限られた予算の中でセキュリティ投資を行う際には、最低限のセキュリティ対策を講じつつも、大きな効果が見込めるツールやサービスを比較・検討してみるのがおすすめです。弊社では無料のよろず相談や要望に沿った各種ツールの導入支援・サポートも行っているため、お気軽にご連絡ください。

 

更新日:2025.06.26