自治体がスマート農業でRTKを活用するには? “使われる” 農業DX基盤を考える
スマート農業の推進施策として、高精度測位技術「RTK(リアルタイムキネマティック)」基盤の整備が注目されています。RTKは、農機の直進アシストや自動操舵、ドローンの自動飛行を支えるだけでなく、合筆・分筆時の測量、暗渠や各種埋設管の敷設場所・ルート管理など、さまざまな農業の場面で活用できる“農業DX基盤”としても期待されています。
そのため、RTK基盤は個々の農家が導入するだけでなく、自治体が地域全体で利用できる基盤として整備することにも大きな意義があります。一方、自治体が整備を進めるには、予算化に向けた庁内調整、運用体制の整備、入札対応など、複数の観点から事前に検討する必要があります。
本記事では、自治体がスマート農業の実現に向けてRTK活用を検討する意義と、導入が進みにくい要因、検討時に押さえておきたいリスクを解説します。また、RTK導入のメリットや活用事例も紹介します。
西部電気工業株式会社では、自治体向けRTK基盤整備の支援実績をもとに、導入判断に役立つ情報をまとめています。導入時の具体的な確認事項、コスト構造、運用体制、利用定着までの進め方を確認したい方は、ホワイトペーパーをご活用ください。
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スマート農業を支えるRTK基盤とは?自治体が整備を検討する意義

スマート農業は、AIやIoT、ロボット技術などを活用し、省力化や生産性向上を実現する新しい農業の形です。こうしたスマート農業を支える基盤技術として注目されているのが、「RTK」です。
RTKは、衛星測位情報を補正することでセンチメートル級の高精度な位置情報を実現する技術であり、自動操舵トラクターや農業用ドローンなど、スマート農業を支える基盤として活用が広がっています。
一方で、農家ごとの個別導入は初期投資や維持管理の負担が大きいため、近年は自治体がRTK基準局を整備し、地域で共同利用できる環境を構築する動きも見られます。
また、RTKは農業向け設備にとどまらず、地域全体で活用するための「位置情報インフラ」としての側面もあります。将来的には、巡回業務や除雪などへの活用も期待されており、農業支援と地域のデジタル化を支える自治体DX資産として注目されています。
RTKの詳しい仕組みについてはこちらの記事をご覧ください。
関連コラム:高精度測位技術『RTK』の仕組みを図解で徹底解説!GPS・GNSSとの違いとは?
自治体がスマート農業を推進する際に直面しやすい3つの課題

スマート農業は、省力化や生産性向上につながる一方で、自治体では費用負担や運用体制、導入判断に必要な情報の不足などから、検討が進みにくい場合があります。
主な課題は次の3つです。
スマート農業対応の農機やRTK機器は、初期費用や維持管理の負担から、導入できる農家が限られる場合があります。そのため、地域全体への普及を見据えた環境整備が必要です。
RTK基盤の整備は、特定の農家だけを支援する施策と捉えられやすく、予算化や庁内調整が課題となることがあります。地域全体の生産性向上や持続可能な農業基盤の構築につながる施策として、意義を整理することが重要です。
RTK導入では、通信環境や設置場所、運用体制など事前に確認すべき事項が多くあります。情報が整理されていないと、導入後のトラブルや運用負担への懸念から、意思決定が進まない場合があります。
RTK基盤の導入検討で自治体が押さえておきたいリスクRTK基盤の整備は、予算確保や関係者調整など検討事項が多く、導入判断に時間を要することがあります。しかし、検討が進まない状態が続くと、スマート農業の普及や地域全体のDX推進が遅れ、結果として地域農業の競争力低下や施策の遅れにつながる恐れがあります。
ここでは、RTK基盤の導入検討や整備を進める際に、自治体が押さえておきたい主なリスクを確認します。
スマート農業の普及が進みにくくなる可能性
近年は、自動操舵トラクターや農業用ドローンなど、高精度な位置情報を活用する農機の導入が進んでいます。しかし、地域内にRTK基盤が整備されていない場合、こうした機器を十分に活用しづらく、農業者にとって導入のハードルとなることがあります。
その結果、省力化や生産性向上につながる取り組みが広がりにくくなり、地域農業の高度化にも影響を及ぼすことが考えられます。
地域間での取り組み格差が広がる懸念
一部の自治体では、スマート農業を支えるRTK基盤の整備が進み、高精度位置情報を活用した農業DXの取り組みも広がりつつあります。一方で、導入検討が進まない地域では、スマート農業の活用機会や取り組みの進捗に差が生じる可能性があります。
特に行政区域内に複数の農業地域を抱える自治体では、農業の担い手確保や生産性向上を支える環境整備が重要です。地域間で取り組み格差が広がることを防ぐためにも、自治体が主体となってRTK基盤の導入・活用を検討し、地域全体のスマート農業をけん引していくことが求められます。
導入しても“使われない基盤”になる恐れ
RTK基盤は、整備すること自体が目的ではなく、地域で継続的に活用されてこそ価値を発揮します。しかし、スマート農業の推進に向けた利用者の把握や周知方法、運用体制の整理が不十分なまま導入した場合、期待したほど利用が広がらず、十分に活用されないままになる可能性があります。
自治体がRTK整備を進める際は、設備の導入だけでなく、誰がどのように利用するのか、障害発生時にどのように対応するのかといった運用面も含めて検討することが重要です。
すでに始まっている自治体でのRTK活用の動き

RTK基盤の整備はまだ一部地域での取り組みですが、すでに自治体や地域の中核機関が主体となり、地域全体で活用できる環境づくりを進めている事例も見られます。ここでは、スマート農業の推進を目的としてRTK活用に取り組む事例をご紹介します。
筑前町:自治体主導で整備し、地域全体で活用を進めた事例
まずは、西部電気工業が導入を支援した福岡県筑前町の事例をご紹介します。福岡県筑前町では、自治体が主体となってRTK基盤を整備し、地域内で共同利用できる環境づくりを進めています。
スマート農業に必要な高精度位置情報を、地域全体で活用できる基盤として整備することで、農業者が利用しやすい環境の構築を目指しました。
また、RTKを単なる農業向け設備ではなく、将来的な行政サービスへの活用も見据えた地域インフラとして位置付けている点も特徴です。
事例詳細はこちら:【筑前町】自治体主導のRTK導入事例:高精度スマート農業で地域活性化とコスト削減を実現
関連コラム:RTKサービスとは?農業・建設・自治体で進む高精度測位の活用法
自治体以外の主体がRTK基盤を整備するケース
RTK基盤の整備は、自治体以外の主体が中心となって進めるケースもあります。
ある地域では、農業支援団体が主体となり、RTKを地域で共同利用するための基盤整備を行いました。RTK基準局と衛星測位データを活用することで、高精度な位置情報を地域全体で利用できる環境づくりが進められています。
農業者が個別に環境を整備する負担を軽減しながら利用を広げている事例であり、自治体がRTK基盤整備を検討する際にも、事業主体や共同利用のあり方を考えるうえで参考となるケースです。
※本事例は弊社の支援事例ではございません。
スマート農業実現に向けたRTK導入のメリットと検討ポイント

RTK基盤は、スマート農業の省力化や生産性向上を支えるだけでなく、将来的には巡回・除雪・インフラ点検など、農業以外の行政分野への活用も期待できます。
RTKを自治体が整備することで、次のようなメリットが期待できます。
- ●農業者の作業負担を軽減できる
- ●地域全体でスマート農業を推進しやすくなる
- ●農業以外の行政分野への活用につなげられる
なお、導入にあたっては、通信環境や設置条件、運用体制、費用などを事前に確認し、導入後も継続して活用できる環境を整えることが重要です。
ホワイトペーパーでは、これらの具体的な確認ポイントに加え、導入時につまずきやすいポイント、コスト構造、自治体内の体制づくり、導入から運用定着までの進め方を詳しく解説しています。
まとめ:スマート農業を支えるRTK基盤は“事前設計”が成果を左右する

スマート農業を支えるRTK基盤の整備は、単なる設備導入ではなく、地域全体で活用するための農業DX基盤として考える必要があります。特に自治体によるRTK整備では、通信環境や運用体制、費用計画などを事前に整理できているかが、導入後の成果に影響します。
また、農業分野だけでなく、除雪や巡回、インフラ点検などへの活用も期待されており、地域のデジタル化を支える自治体DX資産としての側面もあります。そのため、「設置して終わり」ではなく、継続的な活用や将来的な横展開を見据えて検討することが重要です。
西部電気工業では、RTK基盤の導入検討から運用設計まで一貫した支援が可能です。、導入時の確認ポイントについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下のホワイトペーパーをダウンロードしてご活用ください。
更新日:2026.08.26
- 業種:農業
- 目的:省力・効率化、衛星測位
- キーワード:スマート農業(RTK)、ドローン
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