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「当社の規模の会社がMicrosoft Dynamics 365 Business Centralをベースにした最新の販売管理システムを構築できるとは思っていませんでした。現在はデータの蓄積・連携もスムーズ。ERP導入のハードルは高くないことを実感しています」

稲尾産業株式会社
内容

福岡県を中心に建設機材・高所作業車・仮設機材などのレンタル事業を展開する稲尾産業株式会社は、2016年に販売管理システムのリプレースを西部電気工業に依頼。西部電気工業はMicrosoft Dynamics 365 Business Central(以下、Dynamics 365 BC)を用い、システムを構築しました。今回、その背景と効果について、稲尾産業株式会社 業務室 室長 佐藤 雄一郎氏に詳しく伺いました。

 

企業概要:稲尾産業株式会社
本社所在地          :〒812-0857 福岡県福岡市博多区西月隈5丁目4番46号
設立                     :1959年6月
代表者                 :代表取締役社長 稲尾 達哉
資本金                 :4,500万円
従業員数              :200名
事業内容              :建設機械・仮設機材・事務用備品ならびにイベント用品のレンタル
車輌系建設機械特定自主検査登録の検査業者(福岡 第55号)

 

|建設機材などのレンタル業を展開


●御社の会社概要についてお聞かせいただけますか。
1965年に建設機材レンタル部門の設置以降、ビル建設や橋の工事などで使われる建設機材・高所作業車・仮設機材などのレンタル事業を福岡県内で展開してきました。おかげさまで、レンタル製品数は福岡でもトップクラス。10カ所の事業所、3つの関連会社を抱えるまでに成長することができました。

 

21世紀に入り、これまで以上に資源の有効活用が叫ばれるなか、持続可能な世界を目指す国際目標のSDGsも策定されました。当社もモットーにしている「地球の限られた資源の有効活用」をテーマに日夜努力を重ね、人類における恒久的な発展のため、微力ながら貢献したいと願っております。

 

|販売管理システムのリプレースを依頼

 

●今回、西部電気工業には何を依頼しましたか。
販売管理システムのリプレースをDynamics 365 BCで構築していただきました。同時に財務会計システムと仕入管理システムも構築していただき、運用開始から4年が経過しています。受付システムと連携し、業務の効率化に貢献する基幹システムとして大活躍しています。

 

|データ蓄積もデータ連携も可能な販売管理システム

 

●リプレースによる効果をお聞かせいただけますか。
リプレース前の販売管理システムはかなりレガシーなシステムだったため、その違いは本当に大きなものでした。具体的には以下のとおりです。

 

<データを蓄積できる>
普通に考えれば当たり前なのかもしれませんが、システムにデータとして蓄積されるのが素晴らしいと思いました。以前の販売管理システムはデータを蓄積する概念がなく、帳票に出力した後はシステムを軽くするため、前のデータは逐次消去しなければなりませんでした。もちろん、近々のデータはバックアップを取っていますが、リストア(修復、復元)の手間がかかります。古い過去データとなると、帳簿から紙の帳票を探し出す必要がありました。

 

例えば、過去に取引があった顧客でしばらく発注がない場合、すでに端末には取引データがありません。そうした顧客との取引が再開となると、過去の単価を調べるために営業と営業事務が一緒になって何時間も帳簿を調べる手間が発生していました。

 

それが現在は一切必要なく、画面上から過去のデータを検索するだけで、すぐに必要な情報を呼び出すことができます。デスクの上ですべて完結できることの有難さを実感しています。

 

<1度のデータ入力のみでスムーズなデータ連携が可能>
以前は伝票を起こした後、営業台帳で担当に確認してもらい、問題がなければ販売管理システムに入力し、さらにあらためて財務会計システムに入力するという非常に手間のかかるフローになっていました。それもこれも、データを連携させるという概念がなかったためです。

 

現在の販売管理システムは一度データを入力すればスムーズに連携し、二重入力の手間はありません。受付システムから販売管理・財務管理・仕入管理までスムーズに連携するシステムとなっています。

 

<人的ミスの排除>
前述したデータ連携に通じるものですが、データ連携ができない場合、どうしても手入力が介在します。そうなると人的ミスも起こり、金額が合わないなどのトラブルは避けられません。もちろん、遡れば分かりますが、確認自体がそもそも無駄な作業ですから、大きな疲労感を伴います。新たな販売管理システムでは、こうした手間は一気に削減することができました。

 

<ExcelやWordでのデータ分析に役立つ>
営業用データを作成するために貸出残数などを調べる際、以前は手入力のみで大変な作業でした。現在は正確な数字をデータとして出力でき、ExcelやWordに取り込めるため非常に簡単になりました。数字は算出していませんが、売り上げにも貢献していると思っています。

稲尾産業株式会社
業務室
佐藤 雄一郎氏

 

|レンタル業の特殊な業務体系に合うシステムがない

 

●販売管理システムをリプレースするに至った背景をお聞かせいただけますか。
1990年代に導入したオフコンをリプレースする必要があったためです。
それまでの販売管理システムは、前任者が担当のときにスクラッチ開発で導入したものでした。以来、20年以上にもわたって使い続けてきた理由は、レンタル業という特殊な業務形態にありました。販売した商品がそのまま売り上げとしてカウントされる一般的な業務形態とは異なり、客先から商品が戻ってくるレンタル業は販売管理の運用が複雑です。さらに、レンタル業者によって運用も異なるため、当社も独自の運用で長年築き上げてきた販売管理システムは、簡単には変えられない状況でした。

 

実は2010年頃、レンタル業に特化したパッケージを使ってシステムをリプレースしようとしたことがあります。もちろん、そのままでは導入できないため、業者へ当社からさまざまな要望を出してカスタマイズを試みました。しかし、結局は頓挫してしまいました。その理由は当社の複雑なレンタル業務体系にありました。前述しましたが、もう少し詳しく言うと顧客や貸出先の現場ごとに日極単価・月極単価、長期貸出による割引設定、請求書発行などが存在し、貸出中の物品管理も複雑なためです。

 

これらを構築しようとするとさまざまな箇所で不具合が発生し、パフォーマンスにも影響が出てきて上手くいきませんでした。同じシステム内に受付システムも構築しようとして、ボリュームが大きくなり過ぎたのも頓挫した原因かもしれません(受付システムはその後、Dynamics 365 BCによる販売管理システムが導入される前に単独のシステムとして構築)。要は当社の要望が多かったため、それに対応しきれなかったというところだと思います。

 

|ブラックボックス化の危機が迫る

 

●再度リプレースに踏み切ったのはどういった理由からですか。
そもそもオフコン自体が製造中止予定で、将来の保守やサポートに不安がありました。これだけでも早々にリプレースが必要となる大きな要因でしたが、さらに前任者の定年退職が追い打ちをかけました。日々の保守や手直しは前任者が担当しており、前任者がいたからこそシステムとして成立していました。定年退職となった場合、レガシーなCOBOLやRPGという開発言語では外部のSIerを探すのも容易ではありません。

 

このままでは、前任者の定年退職後は誰もオフコンに触れなくなり、本当にブラックボックス化してしまいます。そこで、前任者が定年退職する2017年3月から1年以内には、新しい販売管理システムを導入する必要がありました。

 

|機能面だけでなく開発期間やコストも要件に

 

●新たな販売管理システムに求めた要件をお聞かせいただけますか。
当社が求めた要件は、以下のとおりです。

 

<販売管理と財務会計の連携>
効率化と人的ミスを排除するため、販売管理システムから財務会計システムへの仕訳が自動連動する仕組みにしたいと考えました。

 

<マスタデータの統合>
顧客対応窓口となるフロントの受付システムとの連携や、購買業務との統合による業務の効率化を求めました。

 

<開発期間>
遅くとも2017年中には運用を始めたいと考えていました。

 

<コスト>
潤沢な予算があるわけでありませんから、コストは重要なファクターでした。

 

<保守・メンテナンス>
インフラや業務システムの基盤を保守する社内のリソースは限られています。構築はもちろんですが、稼働後も一緒に伴走していただけるベンダーを求めていました。

 

|ベンダーとしての信頼を感じた西部電気工業

 

●ベンダーを、どのように選定されたのでしょうか。
要件をもとに、オフコンの販売管理システムをクラウドなどにマイグレーションする方法、レンタル業に特化した新たなパッケージでリプレースする方法、そして西部電気工業が提案するERPパッケージ、Dynamics 365 BCでリプレースする方法の3つでベンダーを比較・検討することにしました。その中から西部電気工業が提案するDynamics 365 BCを選定したのは以下の理由からでした。

 

<継続的な提案に好感>
2012年頃から何度かリプレースのご提案をいただくなど、継続的なやり取りの中で円滑なコミュニケーションを図ることができたのが大きかったと思います。そのやり取りの中で当社の販売管理システムの概要をしっかりと把握され、イメージしやすいデモを見せてくださいました。話がしやすく、対応も良く好感を持ちました。

 

<マイクロソフト製品の安心感>
正直なところ、ERPは荷が重いという気がしていましたが、中堅・中小企業向けのマイクロソフト製品である旨の説明を受けて安心しました。また、慣れるまでに時間かかるシステムだと現場は混乱してしまいますが、マイクロソフト製品ならUI(User Interfaceに抵抗は少ないだろうと思いました。Office製品との親和性がある点も魅力でした。

 

<コスト面のアドバンテージ>
ERPであるにもかかわらず、西部電気工業からいただいた見積りは導入に支障がない価格でした。コスト面を含め、西部電気工業には配慮していただきました。
これらに加え、当社が求めていた要件をすべて満たしていたため、今回の販売管理システムのリプレースは西部電気工業にお願いすることにしました。

 

リプレースの進捗状況をお聞かせいただけますか。
2016年10月に要件定義をしていただき、正式に発注いたしました。その後、最初のフェーズでは現行システムの解析などの調査を行っていただきました。
構築のフェーズではデータ移行も実施。その後も順調に構築は進み、2017年10月には無事に本稼働することができました。

 

|現場担当者からのヒアリングも実施

 

●西部電気工業に対する評価をお聞かせいただけますか。
時間的な制約がある中、失敗が許されないプロジェクトを成功させることができたのは、西部電気工業のおかげだと実感しています。実際、より良いシステムを構築するため、私からのヒアリングだけでなく、現場担当からのヒアリングやレンタル商品の動きも見てくださいました。そうした姿勢が今回のシステムの随所に活かされていると思っています。

 

例えば、先ほど顧客ごとに請求書が異なると申し上げましたが、その状況に対応するため、帳票ツールをアドオンして構築。稼働後は我々で帳票をレイアウトできる仕組みにしていただきました。このような対応に感謝しています。

 

|Dynamics 365 BCは中堅・中小企業に向いたERP

 

●今後の展開をお聞かせいただけますか。
稼働して5年目を迎える来年は、ハードウェアのリプレースを考えています。それを機に、現場からの声を要望としてまとめ、ブラッシュアップしていただくつもりです。また、顧客管理は大事な部分ですので、良いCRMの提案があれば導入を検討したいと考えています。ただし、営業とのコンセンサスが必要となるため、簡単ではないかもしれません。どちらにしても、西部電気工業からの良い提案を期待しています。

 

●最後に、Dynamics 365 BCと西部電気工業に対する期待をお願いします。
ERPは大手企業が使うイメ―ジがありましたが、今回、西部電気工業からの提案で導入し、決してそんなことはなかったと気がつきました。むしろ、顧客からの要望に応えるため、さまざまなカスタマイズに対応できる点は確かに中小企業向けかもしれません。しかも、我々でも導入できる価格でしたから、ハードルも高くありません。
そういう意味では、あまり専用パッケージにこだわらず、Dynamics 365 BCをベースにカスタマイズしていくのは有効な手段だと言えるでしょう。ただし、その際はDynamics 365 BCを熟知している西部電気工業のようなベンダーからの支援が必要になると思います。

 

当社はこれからもDynamics 365 BCを活用し続けるつもりです。引き続き西部電気工業には手厚いサポートを期待しています。これからもよろしくお願いいたします。

 

稲尾産業株式会社 (右1名)
業務室
佐藤 雄一郎氏

 

西部電気工業株式会社(左2名)
ソリューションビジネス事業部 ソフトウェアビジネス部
左より百武 淳二、丸山 隆久

 

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。 

 

* 取材日時 2021年9月
* 稲尾産業様のサイト
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。 

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