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現場DX推進にむけて(第3回)プロジェクト本番でつまずかないために ~体験ファーストによるリスク低減~

前回のコラムはこちら
 日本におけるDX推進人材確保の現状と今後の展望 ~なぜ伴走サービスが流行るのか~

『せっかくプロジェクトを発足したが、問題が続発して一旦プロジェクトをストップした』

DXを推進する多くの企業で、プロジェクトの実施経験が不足していることにより、あえなくプロジェクトを断念したという話をよく耳にします。

今回のコラムでは、多くの企業が陥るプロジェクト実施時の問題点を5つのケースでご紹介します。本番のプロジェクトで、大きな損失を避ける一助になれば幸いです。

1.DX化プロジェクト実施時によく起きる問題点とは


企業のDX化が加速する現在、プロジェクト実施時に様々な問題が発生しています。ここでは、多くの企業が経験する可能性の高い5つのケースに焦点を当て、解説していきます。

【Case1】
基幹システム導入プロジェクト発足後、DX推進者/現場ユーザー/各部署間の業務イメージが揃わず、押し付け合いが発生

会社上層部側のITリテラシーが先行し、業務部門の巻き込みをおろそかにすると陥りやすい失敗ケースです。最終的に業務を行うのは現場ユーザーですので、基幹システム導入後の業務イメージを共有しながら、業務の重複などを避けるアプローチが必要です。

【Case2】
DX推進者、製造部長、工場長がプロジェクト発足に意欲を見せるも、予算取りの社内調整に難航し、プロジェクトを断念

製造現場の設備投資や、改善推進の延長線上で、基幹システムの導入を検討する場合に陥りやすい失敗ケースです。基幹システムの導入に関しては、予算規模に応じてIT部門が保有するDX/IT投資予算との兼ね合いを見る必要があり、この予算枠獲得において、経理やIT部門と揉めると、うまく話が進まなくなることがあります。

【Case3】
DX推進者と社内キーパーソンとのコミュニケーションが不足し、現行の業務情報の収集に難航する失敗

DXの各種プロジェクト推進のために、社外人材を積極的に雇用している場合に陥りやすい失敗ケースです。採用の過程において、社外人材が本当に基幹システム導入予定の業務に精通しているか、現場社員との相性は問題ないか等を、工場見学などを組み合わせて見抜くことで、リスクを避けることが可能です。また、新たに採用した人材を筆頭に、PoC等の小規模プロジェクトを行うといったアプローチも有効です。

【Case4】
DX推進者にシステムエンジニアとの議論経験や成果物確認の勘所が不足しているため、プロジェクト後半で手戻り発生

Case3とは逆のケースで、将来を期待されている社内人材をDX推進者に抜擢した際、基幹システム導入やプロジェクト推進の勘所が、不足している場合に陥りやすい事例です。このケースに関してもCase3と同様、抜擢した人材を筆頭に、PoC等の小規模プロジェクトを行うといったアプローチで経験を積むことが有効です。

【Case5】
DX方針の策定が進み、システムライセンス購入後、いざ構築する段階でITポリシーに抵触し中断

比較的大規模な会社に起こり得る事例で、IT関連業務を社外委託しているなど、IT部門の巻き込みをおろそかにすると陥りやすい事例です。

これらの失敗ケースは、多くの企業が経験する共通の課題です。せっかくのDX化プロジェクトが途中で中断してしまわないためにも、事前のアプローチが必要不可欠です。

 

2.体験ファーストによる2つのリスク低減アプローチ


上記のようなプロジェクト失敗リスクを避けるため、小規模なプロジェクトを実行するのが、体験ファーストによるリスク低減アプローチです。このアプローチは、大きく分けて2つのステップに分けて実施を行います。

最初のステップでは、デモ動画とディスカッションを組み合わせ、基幹システム導入後の製造現場業務を体験します。こうすることにより、DX推進者と、現場ユーザーの反応の違いを体験することができます。また、部署/工程/チーム間での業務分担の理解の違いを体験することも可能です。

2つ目のステップでは、実工程、実データの情報を元にデモ環境を構築し、基幹システム導入の大変さを体験します。こうすることにより、プロジェクト発足、進行の為の社内調整を体験したり、システム構築のための情報収集、資料作成を体験したり、システムエンジニアとの議論、成果物検収を体験することができます。実工程、実データの情報としては、多くの工場で議論が発散する、下記ポイントの整理と実装を体験します。

  • 工程の区切りの粒度をどうするか

  • 開始条件/終了条件をどう定めるか

  • どのデータを登録するか

  • 登録したデータをどのように表示するか

MESの11機能としては、上記のような管理以外にも、作業のスケジューリングや実績分析などもありますが、一度にすべての議論を行うよりも、上記のような基本的な工程管理のみの議論でも、議論が発散しうるというリスクを、体験を通じて実感することが可能です。

3.【まとめ】現場DX推進にむけて・プロジェクト本番でつまずかないために


本コラムにて、多くの企業が陥るプロジェクト実施時の問題点を下記5つのケースでご紹介しました。また、それらの失敗リスクを避けるための体験ファーストによるアプローチも、ご紹介しました。プロジェクト推進を検討する中で、採用ソリューションや費用対効果だけでなく、リスク低減に関して検討する際にヒントにしていただけると幸いです。

いかがでしたでしょうか。弊社は株式会社マクニカ様との協業により、さまざまなソリューション導入の支援を実施しております。気になる点やご質問、問い合わせ等ありましたら、下記よりお問い合わせ下さい。

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更新日:2024.09.24